マンションの防水工事は、雨水から建物を保護して寿命を伸ばすことや、美観を守り居住性を高めるために必要不可欠な工事です。
しかし、防水工事のくわしい内容などは、わからないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、マンションの防水工事、とくに屋上の防水工事について種類や必要な理由、費用相場まで詳しく解説します。

マンションの防水工事が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
マンションの防水工事とは?


マンションの屋上防水工事とは、雨漏りを防ぐために、屋上に防水層を形成する工事のことです。
マンションの屋上は勾配がほとんどないため、雨水が溜まりやすく、防水機能が働かなければ内部に水が浸透し、階下に雨漏りを発生させたり、鉄筋部分が錆びて建物の強度を低下させたりしてしまいます。
そのため、マンション屋上の防水工事はマンションを守るために大切な工事なのです。
マンションの屋上防水工事の種類


マンションの屋上防水工事には、以下の4種類があります。
- FRP防水
- ウレタン防水
- シート防水
- アスファルト防水
順に解説しましょう。
【FRP防水】の特長とメリット・デメリット
FRP防水の特長と、メリット・デメリットを紹介します。
【FRP防水の特長】
FRP防水は、FRPを施工箇所に敷いてその上からポリエステル樹脂を塗装する防水工事のことです。
FRPとは、Fiber Reinforced Plastics(繊維強化プラスチック)の略で、合成樹脂(プラスチック)にガラス繊維を混ぜた、ロケットや船舶にも使用されるほど強度の高い複合材料です。
FRP自体は合成樹脂(プラスチック)の性質を持っているため、紫外線に弱い性質があります。
しかし、FRP防水が紫外線に弱いわけではありません。表面を紫外線吸収剤や超耐候性のプラスチック被膜などでトップコートしているからです。
このため、長期間紫外線にさらされても、耐久性を維持し品質を保てます。
【FRP防水のメリットとデメリット】
FRP防水のメリット | FRP防水のデメリット |
---|---|
軽量なため屋根の軽量化につながり建物の負担が少ない 耐水性や耐久性、耐熱性に優れる 速乾性が高く短期間で防水工事が終了する | コストがかかる 施工時に臭いが出る 伸縮性が低いため、広範囲の使用にはひび割れなどが起きやすい |
【ウレタン防水】の特長とメリット・デメリット
次に、ウレタン防水の特長とメリット・デメリットです。
【ウレタン防水の特長】
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を使用し、複雑な形状の場所にも継ぎ目なく施工できるため、高い防水性が確保できます。
ただし、防水層に均一に樹脂を流し込む必要があるため、他の工法とくらべても工事業者の経験や熟練度が仕上がりに大きく影響します。
【ウレタン防水のメリットとデメリット】
ウレタン防水のメリット | ウレタン防水のデメリット |
---|---|
比較的安価に施工できる 継ぎ目がなく防水性が高い 複雑な形状の場所にも施工できる | 工程ごとに乾燥が必要なので工期が長い 施工が難しい |
【シート防水】の特長とメリット・デメリット
シート防水の特長と、メリット・デメリットを紹介します。
【シート防水の特長】
シート防水とは、ゴムや塩化ビニールなどの防水シートを接着剤やビスで下地に敷いて防水層を作る工法です。
既存の防水層の上からシートを貼り付けられるため、前回と工法が違っても問題なく施工できます。既存の工法に左右されず、改修工事に向いた工法です。
【シート防水のメリットとデメリット】
シート防水のメリット | シート防水のデメリット |
---|---|
安価に施工できる 工期が短い 広い面積に施工できる 塗料などを使用しないので臭いが少ない | ドリルなどの電動工具を使用するため施工時、騒音や振動が発生することもある 複雑な形状の場所は施工が難しい |
【アスファルト防水】の特長とメリット・デメリット
アスファルト防水は、アスファルトを基材(不織布など)に染み込ませたルーフィングシートを複数回重ね貼りして、防水層を形成します。
アスファルト工法には、以下の3つの工法があります。
- 熱工法
- トーチ工法
- 常温工法(冷工法)
アスファルト防水は種類によって、工法やメリット、デメリットが変わりますので施工前に確認することが大切です。
ここではアスファルト防水の3つの種類について順に解説します。
【熱工法】
アスファルト防水の熱工法について紹介します。
【熱工法の特長】
ルーフィングシートと溶かしたアスファルトを重ね貼りし防水層を形成します。
100年以上の歴史をもつ日本でもっとも古くから行われている防水工法です。長い実績があるため、大変信頼性の高い工法です。
【熱工法のメリットとデメリット】
熱工法のメリット | 熱工法のデメリット |
---|---|
耐用年数が長い 防水性が高い | 施工難易度が高い 費用が高い アスファルトを溶かす際、悪臭や煙が出る |
【トーチ工法】
アスファルト防水のトーチ工法について紹介します。
【トーチ工法の特長】
ルーフィングシートをバーナーで溶かしながら重ね貼りし防水層を形成します。
バーナーで溶かすため、熱工法のような大型機械などが不要で悪臭や煙が少ない工法です。
【トーチ工法のメリットとデメリット】
トーチ工法のメリット | トーチ工法のデメリット |
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水密性が高い(水が浸透しない性質) 熱工法のように溶融釜を使用しないため危険性が少ない 熱工法より悪臭や煙が少なく環境に配慮しやすい | 施工難易度が高い バーナーによる火事のリスクがある |
【常温工法(冷工法)】
アスファルト防水の常温工法(冷工法)について紹介します。
【常温工法(冷工法)の特長】
片面に接着効果のあるルーフィングシートを重ね貼りし防水層を形成します。
アスファルトを溶かす作業がないので、手間やコストを削減でき、熱で発生する異臭や煙も出ずに安全性も高いです。
防水効果をあげるため粘着シートを多く重ねる必要があり、重量が重く建物の耐久性に考慮が必要になります。
【常温工法のメリットとデメリット】
常温工法のメリット | 常温工法のデメリット |
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臭いや煙が出ない せまい場所にも施工可能 | 粘着剤使用のため、他のアスファルト防水より防水性がやや低い 重量が重い |
マンションの防水工事が必要な理由


マンションの防水工事が必要な理由は、建物内部への水の侵入を防ぎ、雨漏りから建物を守るためです。防水工事により、建物の耐久性を高め、快適な住まいを維持できます。
屋上スペースとして活用されるマンションの屋根は、一般家屋の屋根のように大きな勾配がありません。そのため雨水が溜まりやすく防水機能が働かなければ建物内部に水が浸透し、階下に雨漏りを発生させたり、鉄筋部分が錆びて建物の強度を低下させたりします。
そうなると建物に大きなダメージが加わり、改修工事の際に防水工事以上の手間や費用がかかることもあるのです。
マンション防水工事を行うタイミング


マンションの防水工事は、雨漏りや躯体の腐食を防ぎ建物の寿命を伸ばすためにかかせません。
防水工事を行うタイミングとして、おもに以下の2つのケースがあげられます。
- 防水工事の耐用年数を過ぎたとき
- 屋上防水層の劣化が目立つとき
順に解説しましょう。
防水工事の耐用年数を過ぎたとき
防水工事の耐用年数は、工事の種類によっても変わりますが、一般的には10〜15年と言われています。
耐用年数を過ぎて放置していると防水層の劣化が大きく進行し、建物にダメージをあたえ寿命を縮めてしまいます。早期に発見できれば適切なメンテナンスが可能です。
そのため耐用年数がくる前に専門業者へ点検を依頼し、防水層の状態を確認しましょう。
それぞれの防水工事の種類による耐用年数の目安は、下表のとおりです。
防水工事の種類 | 耐用年数の目安 |
---|---|
FRP防水 | 10〜12年程度 |
ウレタン防水 | 10~12年程度 |
シート防水 | 10〜15年程度 |
アスファルト防水 | 15〜25年程度 |
屋上防水層の劣化が目立つとき
屋上防水層の劣化を放置すると、ダメージが進行し躯体にまで悪影響をあたえ建物の寿命を縮めます。
しかし、早期にメンテナンスできれば、補修で対処可能な場合も多く費用も安くすむのです。
耐用年数が過ぎていなくても、以下のような劣化のサインが確認された場合には、早期に防水工事が必要な場合もありますので、専門業者への相談をおすすめします。
ひび割れ
紫外線などが原因で、防水層のトップコートがひび割れすることもあります。放置しておくと防水層内部にまでひび割れが広がり、建物内部へ水が侵入する原因になります。
植物が生えている
排水溝の周辺などに、土埃や植物の種子が飛来して植物が生えることがあります。植物の生命力は力強く、ときには防水層にまで根を伸ばすことも。
防水層にまで根が達している場合、引き抜くことで内部まで水が浸透する原因になってしまうこともありますので、安易に抜かず業者へ相談して点検、対処が必要です。
水たまりがある
屋上の勾配不良のため水たまりができているときは、業者に点検依頼をすることが大切です。防水層の劣化の原因になり、内部に水が浸透してしまう可能性もあります。
防水シートのはがれや浮き
シートのはがれや浮きが見られるときは、防水層が劣化している可能性が高いです。早急に点検、改修が必要な場合があります。
マンション屋上防水工事の費用相場とは


マンションの屋上防水工事費用相場は、建物の規模や構造、劣化状況、使用する資材のグレード、地域などによっても大きく変動しますが、一般的な目安は以下のとおりです。
【防水工事の種類と費用】
防水工事の種類 | 1㎡当たりの単価 | 耐用年数 |
---|---|---|
FRP防水 | 6,000~9,000円 | 10〜12年程度 |
ウレタン防水 | 5,000~9,000円 | 10~12年程度 |
シート防水 | 6,000~10,000円 | 10〜15年程度 |
アスファルト防水 | 8,000~15,000円 | 15〜25年程度 |
具体的な費用を知るためには、専門業者に見積りを依頼することをおすすめします。
マンション屋上防水工事には助成金や補助金が活用できることもある


マンション屋上防水工事は、建物や設備を定期的に修繕する「大規模修繕」の中でもとくに費用的負担が大きく、修繕積立金の値上げにつながる可能性も。
マンション屋上防水工事の資金不足にお悩みなら、助成金や補助金制度が活用できる場合もあります。
制度の内容は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体のホームページを確認するか、防水工事の施工会社でご相談ください。
防水工事業者の選び方


防水工事は、建物の寿命を決める重要な工事です。
以下のポイントを参考に、信頼できる業者を選びましょう。
防水工事の実績を確認
防水工事の施工実績の豊富な業者は、経験からくるスキルとノウハウを持つため安心して依頼できます。
防水工事の種類によっては、高い技術力を要するものがあり、経験やスキルの足りない職人の施工では、施工不良のリスクもありますので注意が必要です。
アフターフォローの内容や期間を確認
防水工事は、完了したらそれで終わりではありません。
万が一施工不良などが起きたときに充実したアフターフォローがなければ、生活へ悪影響となってしまいます。また建物に損傷が出ることも。
安心して任せられる業者を選ぶために、保証期間や内容、定期点検の有無などを事前に確認しておきましょう。
現場代理人の人柄や施工経験を確認
現場代理人は、工事現場全体の運営や施工管理などの役割を担います。豊富な経験があれば、安全性を確保しながら高品質の施工を行えるはずです。
また人柄のよい現場代理人であれば、住民の方々と円滑なコミュニケーションを図り、工事に対する理解や協力を得られるでしょう。
見積書に内訳まで細かく記載されているか確認
見積書の内容を細かく確認し、不明瞭な点があれば納得のいくまで詳細な説明を求めましょう。
わかりやすく明確な見積書は後々のトラブルを防ぎ、安心して依頼できるポイントです。
信頼できる業者に防水工事を依頼してマンションの資産価値や居住性を高めよう!


マンションの屋上は常に雨や紫外線にさらされており、雨漏りを防ぎ建物を保護するためには定期的な防水工事が不可欠です。
防水工事には、4つの種類がありそれぞれに特長やメリット、デメリットがあるため、施工場所により、最適な種類を選ぶ必要があります。
依頼する業者によっては、防水工事の経験が浅く、施工中や施工後のトラブルをまねくことも。施工技術が高く信頼できる業者に依頼することが、マンションの寿命を伸ばし、快適な住環境を保つことにつながります。
ネクストプルーフ株式会社では、多くの資格保持者と豊富な実績をもち、大規模修繕工事をはじめとした多様な現場を施工、管理してまいりました。
マンション屋上防水工事はじめ大規模修繕工事をご検討でしたら、ぜひお気軽にご相談ください。



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