新築から10年以上が経ったマンションは、いずれ大規模修繕を行わなければなりません。
「大規模修繕」は耳にしたことがあるものの、実際にどんなことをするのか、そもそもしなければいけないことなのか、などよくわからないことも多いものです。
そこで、この記事ではマンションの大規模修繕工事についてご紹介します。マンションの大規模修繕が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

大規模修繕工事について、わかりやすく解説していきます!
マンションの大規模修繕工事とは?


マンションの大規模修繕とは、大がかりな工事をともなうマンションの修繕工事のことです。
ここでは、大規模修繕工事の概要をお伝えします。
大規模修繕工事の定義|国土交通省のガイドライン
国土交通省は、マンションの大規模修繕工事についてガイドラインを公開しています。その定義は以下のとおりです。
マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値を維持するために行う修繕工事や、必要に応じて建物及び設備の性能向上を図るために行う改修工事のうち、工事内容が大規模、工事費が高額、工事期間が長期間にわたるもの等をいう。
引用元:国土交通省「マンションの改修・建替え等について」
新築時から時間が経過するとともに、マンションはさまざまな部分が劣化していきます。そのため住民が安心して暮らせるように、定期的に大規模な修繕をしなければならないのです。
大規模修繕と補修や改修との違い
大規模修繕は、大々的に修繕する工事のことをいいます。
修繕と似た言葉に、補修や改修といった言葉もありますが、その違いについて確認しておきましょう。
工事内容 | |
---|---|
修繕 | 劣化している部分を修理したり取り替えたりすることで、性能や機能を新築時の状態まで回復させる工事 |
補修 | 不具合のある部分を、実用上問題ない状態に補う小規模な工事 |
改良 | 資産価値を向上させるための新たな機能や性能を付加させる工事 |
改修 | 修繕や改良により今よりも建築物の性能を改善させるための変更工事 |
大規模修繕が必要となる時期や周期
大規模修繕が必要となる時期や周期は、決まっているわけではありません。マンションそれぞれの状況によってさまざまです。
一般的には、12~18年周期で行われることが多いですが、前回の工事の施工内容や状態、自然環境などにも大いに左右されます。
そもそも、今はたしてマンションにとって大規模修繕が必要な時期なのかどうかを、適切に判断する必要もあるのです。
以前は「12年周期で大規模修繕は行うもの」と認識されていることもありましたが、これがすべてのマンションに一律で当てはまるわけではありません。
大規模修繕工事の工事期間
大規模修繕の工事期間は、マンションの規模や工事内容によって変わってきます。目安として、マンションの規模と工事期間について下表でご確認ください。
着工まで | 工事期間 | |
---|---|---|
小・中規模マンション | 1~2年 | 3か月~半年 |
大規模マンション | 1~2年 | 6か月~1年以上 |
マンションの大規模修繕が必要な理由


ここでは、マンションの大規模修繕が必要な理由を紹介します。
- 建物や設備の経年劣化から安全を守るため
- マンションの資産価値を守るため
これらの理由から、マンションの大規模修繕は避けては通れない工事になるのです。
それぞれ詳しく説明しましょう。
建物や設備の経年劣化から安全を守るため
マンションの建物や設備は、どうしても年月とともに劣化します。
見た目が古く美観を損なうだけならまだしも、なかには劣化によって住民の安全を脅かすこともあるのです。
たとえば以下のようなおそれもあります。
- バルコニー手すりの劣化によりはずれて落ちた
- 屋上の防水が劣化してゲリラ豪雨の際に室内が水浸しになった
これらの経年劣化から住民の安全を守るために、マンションの大規模修繕はかかせない工事なのです。
マンションの資産価値を守るため
マンションは年月が経つとともに、資産価値は下がる一方です。
大規模修繕を行うことで、新築の状態に近づけられるため、マンションの資産価値を守れます。
さらには、大規模修繕工事の際に今よりも機能を上げる工事も行うことで、資産価値が上がる可能性もあるのです。
たとえば、以下のような工事が考えられます。
- エレベーターがなかったマンションにエレベーターを付ける
- インターネットが使えなかったマンションにインターネット回線を導入する など
これらの工事も行えば、資産価値を守るだけでなく、工事前よりも上げることが可能となります。
マンションの大規模修繕に必要な費用


マンションの大規模修繕に必要な費用の目安は以下のとおりです。
必要な費用 | |
---|---|
一戸あたり | 75~125万円 |
マンション全体(31~50戸以下) | 2,500万~8,000万円 |
マンション全体(76~100戸以下) | 8,500万~1億5,000万円 |
なお、マンションの大規模修繕費用は、1回目よりも2回目、3回目と、回数を重ねるごとに高くなります。
これは、修繕すべき箇所が年数の経過とともに増えたり、劣化が進んだりするからです。
参考:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」
大規模修繕の工程と工事内容


大規模修繕の際に行われるおもな工事箇所と工事内容を紹介します。大規模修繕の対象となる部分は、共用部分です。
工事箇所 | 工事内容 |
---|---|
屋上 | 防水 |
外壁 | 補修・塗装 |
共用廊下 | 壁や床の補修 |
バルコニー | 床防水 |
タイル張り | 補修 |
鉄部 | 塗装 |
手すり | 交換 |
給水管・排水管 | 交換 |
貯水槽 | 補修 |
昇降機 | 補修 |
マンション大規模修繕の流れ


ここからは、マンションの大規模修繕の流れを紹介します。
大規模修繕の管理者を決める
マンションの大規模修繕工事は、マンションの管理組合が主体となって進めます。マンションによっては、修繕委員会を立ち上げるケースもあります。
しかしマンションの管理組合は、マンションの住民数名で成り立っており、大規模修繕工事に関して深い知識をもつことはあまりありません。
そのためまずは、大規模修繕の管理者を決めます。大きくわけて、管理者は以下のようなケースが考えられるでしょう。
- 管理会社へ依頼する
- 施工会社へ依頼する
- コンサルタントへ依頼する
- 行政や業界団体に依頼する
大規模修繕の管理者を決めることで、管理組合としてはその後やるべきことや予算などが変わってきます。
建物の調査を依頼する
まずは、大規模修繕を行う前に、必ず建物の調査をしてもらいます。
建物の現状がわからないと、どんな工事をどれだけやればいいのかすらわかりません。
また大規模修繕の時期だと思っていたものの、建物の程度がよければ、工事はもう少し先でも大丈夫と判断されるケースもあります。そのため、きちんと現状を調べてもらうことは大切な工程になるのです。
大規模修繕方法を決めて見積りを依頼する
調査が終われば、大規模修繕工事の方法を決められます。ここで見積りを依頼しましょう。
すでに施工会社が決まっていれば、見積りの依頼をして待つだけです。
どこに依頼すればいいのかわからない状態であれば、数社に見積りを依頼して、相見積りをとることもいいでしょう。
大規模修繕を依頼する施工会社を決める
見積りが届いたら、依頼する施工会社を決めます。
施工会社を決める際には、価格の安さだけで判断しないようにしましょう。安さだけにとらわれると、次回の大規模修繕までの期間が短くなってしまい、結果的には手間や予算が余計にかかる場合もあります。
できれば、使われる材料や工法などの説明を受けると安心です。
価格や工事内容に納得ができたら、施工会社を決定しましょう
大規模修繕工事の実施|工事の流れ
いよいよ施工会社が工事を実施します。大まかな大規模修繕工事の流れは、以下のとおりです。
- 足場の設置など仮設工事
- 下地の補修工事
- タイルの補修工事
- シーリング工事
- 洗浄
- 外壁塗装
- 屋上やバルコニーの防水工事
- その他の工事
- 足場の解体
大規模修繕工事は長期間にわたるため、この間、どうしても住民や近隣へなんらかの不便を強いることになります。それぞれがストレスを感じる期間となり、トラブルに発展するケースもありがちです。
マンションの大規模修繕工事でよくあるトラブル


マンションの大規模修繕工事は、まさに大がかりな工事です。ここではよくあるトラブルについて紹介します。
管理組合や住民同士でもめる
マンションの管理組合や住民同士でもめるトラブルは、よくあることです。
たくさんの人が暮らすマンションなので、すべての意見が一致するとは限りません。
一方では必要と思う工事も、もう一方では予算をおさえたいからやる必要がない、と意見が対立することもあるでしょう。
トップに立つ人や組合に圧倒的な信頼や権威性があれば、多くの意見を取りまとめられますが、トップが揺らいでしまうと、トラブルは大きくなりがちです。
大規模修繕費用の負担が大きくて払えない
大規模修繕費用の積立金の負担が大きくて支払えない人がいると、トラブルになりがちです。
新築から1回目の大規模修繕であれば、当初予定していた修繕ですむかもしれません。
しかし年数を経るにつれて、修繕箇所も多くなったり、より大規模な修繕が必要となったりします。
入居当初の積立金では大規模修繕費がまかなえないために、積立金が年々上がっていくケースはよくあることです。
入居者もだんだんと歳を重ねるため、やがては年金暮らしになると、積立金を捻出するのも厳しい場合もあります。
修繕費用が払えないときには、修繕箇所の重要度の高いところを優先して修繕を行うなど、見極めが必要です。施工会社へ予算を告げて、相談してみるといいでしょう。
また、補助金や助成金で使えるものがあれば活用します。
工期が大幅にのびる
工期が大幅にのびてしまうトラブルもあります。
これは、施工会社の技術力が足りないことによるものが多いようです。
安価な見積り金額で選んだところ悪質な業者だった、また故意に工期を遅らせて追加の料金をとるケースなどもあります。
業者を選ぶ際には、じゅうぶん注意をしなければなりません。
仕上がりが違って苦情が出る
工事が終わってみたら、思っていたものと仕上がりが違うなどで、苦情が出るトラブルもあります。
これは工事前の確認が足りなかったなどが考えられます。
工事前の打ち合わせの段階でしっかりと確認をしておけば、防げることも多いでしょう。
また工事後のアフターフォローが整っている施工会社であれば、万が一工事後にトラブルがあった場合には対応をしてもらえますし、そもそも工事後のトラブルとならないよう、事前に説明がなされるはずです。
工事中に体調不良となる
大規模修繕工事は長期間の工事になるため、工事の間はどうしてもふだんとは違う生活が強いられます。
その間、塗料のニオイや騒音などに悩まされることもあるでしょう。
さらには、窓が開けられなかったり洗濯物を外に干せなかったりと、ストレスも重なります。やがては体調不良となることもあるようです。
ある程度は全員が「がまんをしなければならない時期」ととらえることも必要となります。
生活をしている住民への配慮ができる施工会社を選んだり、なるべく工事が行われる昼間は外出して過ごしたり、とそれぞれが工夫をして生活をすることでやり過ごせるでしょう。
マンション大規模修繕でトラブルが起こった際の対処法


マンションの大規模修繕でトラブルが起こった際のために、誰に責任の所在があるのかをはっきりさせておく必要があります。
- 管理組合
- 管理会社
- 修繕委員会
- 施工会社 など
マンションの大規模修繕には、住民はふだんと違う生活を強いられるため、多少なりともトラブルはともなうものです。
また、近隣から苦情が届く場合もあります。トラブルがあった際の窓口を明確にしておくことで、トラブルを最小限におさえられるでしょう。
マンションの大規模修繕工事で失敗しない業者の選び方


マンションの大規模修繕工事で失敗しない業者の選び方を紹介します。工事を失敗なく完了させるためには、業者選びが大切な要素です。
経験や実績が豊富で信頼できる業者を選ぶ
大規模修繕工事は、マンションごとに施工方法も異なります。
そのため、大規模修繕工事を滞りなく完了させるには、なんといっても経験や実績が豊富な施工会社を選ぶことが大切です。
信頼できる業者の判断ポイントは以下のとおりです。
- 実績が豊富
- ある程度の歴史がある
- 資格保持者がいる
- ホームページなどで実績を公開している など
マンションの大規模修繕工事は、まったく同じように進むことはなく、現場ごとにやるべきことが違います。施工経験が多ければ、どのような現場や状況にも対応できる力が備わっています。
経験が豊富であれば、有事の際の対処法も心得ているはずです。
アフターフォローがしっかりしている業者を選ぶ
業者を選ぶ際には、アフターフォローがしっかりしている施工会社を選ぶと安心です。
大規模修繕工事は、工事完了の竣工時点ではきれいにできているように見えます。しかし、その後は何もしないでいいわけではありません。
適切なアフターメンテナンスは、その後のマンションの持ちにもかかせない作業になります。
大規模修繕を担当した施工会社であれば、工事の過程や使った材料が把握できているので、適切なアフターメンテナンスも可能です。
保証期間や内容の確認、定期点検の有無なども事前にしっかりと確認して、対応してもらえる業者を選べば安心です。
マンションの大規模修繕なら|ネクストプルーフへご相談ください


マンションの大規模修繕は、マンションにとって定期的に訪れる一大イベントです。
準備や工事、さらには工事が終わった後も、やるべきことがたくさんあり、非常に時間や手間がかかります。
当社ネクストプルーフ株式会社は、東京都板橋区にて2012年の創業から日々努力を重ね、お客様から厚い信頼をいただいてきました。
単なる修繕工事を請け負う会社としてではなく、住民の皆さまの想いに寄り添いながら、大切なお住まいであるマンションをよりよい建物へと施工させていただきます。



大規模修繕でお困りの際には、まずはお気軽にご相談ください。



