分譲マンションの1室を購入したら、必ず入らなければならないのが管理組合です。
管理組合は、マンションの環境や資産価値を守るためにさまざまな活動をしなければなりません。
そして管理組合にとって最大の仕事となるのが、マンションの大規模修繕です。十数年に一度訪れる大規模修繕の際に、管理組合は何をすればいいのか、よくわからないことも多いでしょう。
この記事では、マンションの大規模修繕における管理組合の役割について紹介します。

わかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
マンションの大規模修繕工事における管理組合の役割


はじめに、マンションの管理組合についてと、大規模修繕工事における役割を紹介しましょう。
マンション管理組合とは?
マンションの管理組合とは、マンションの住民によってつくられた組合のことです。
分譲マンションを購入したら、住民は必ず管理組合に入らなければなりません。
これは「区分所有法」という法律で定められており、管理組合の設立は義務付けられ、区分所有者全員が必ず加入しなくてはならないのです。
- 「人付き合いが得意じゃないから」
- 「仕事が忙しくてマンションのことまで手が回らない」
- 「高齢だから」
どの家庭にもさまざまな理由はありますが、それらの理由から管理組合への加入を断ることはできません。
マンションの治安や資産価値を守るために、住人である自分たち全員が協力しなければならない、といった考え方です。
マンションの大規模修繕工事とは?
マンションの大規模修繕工事とは、十数年に一度、マンションのおもに共有部分を一斉に修繕工事することです。
マンション全体に足場をかけて、屋上から玄関ホール、共用廊下など、劣化した部分を修繕します。
大々的な工事となるため、工事期間も長期間におよび「大規模修繕工事」と呼ばれるものです。


マンションの大規模修繕における管理組合の役割
マンションの管理組合にとって大規模修繕工事は、十数年に一度訪れる一大イベントとなります。
大規模修繕のときがやってきてから、管理組合が動き出すわけではなく、大規模修繕のために数年がかりで計画を進めるのが管理組合の役割ともいえるほどです。
また分譲マンションを購入すると、毎月「修繕費」を支払うようになりますが、住民から徴収した修繕費の管理なども行います。
マンションの大規模修繕をやる目的と周期


マンションの大規模修繕をやる目的は、以下のとおりです。
- 劣化した部分を補修し居住快適性や安全を守るため
- マンションの資産価値を維持するため
マンションをできるだけ新築当時の状態にまで戻す工事です。
その他にも、修繕だけでなく、マンションの資産価値を以前よりも上げるための工事を同時に行うこともあります。たとえば以下のような工事です。
- 設備のグレードアップ
- バリアフリー化
- エレベーターの設置
- 省エネ化 など
これによって、マンションの資産価値を維持するどころか、上げることもできるのです。
大規模修繕工事が行われる周期は、以前は12年ともいわれていましたが、今は12~18年といわれています。
これは、マンションの築年数や建物自体の工事状況、さらされる環境などによって変わるものです。
「一般的に12年と言われるから……」と、12年ごとに行わなければならない、というものではありません。
マンションの状況によっては、10年で大規模修繕をやらなくてはならなくなったり、逆に18年やらなくてもよかったりと、さまざまです。工事内容によっても同じことがいえます。
また、毎回同じ周期で工事が必要かどうかも前回の施工状況によって異なるでしょう。
たとえば前回の修繕でランクが高い防水塗料を使っていれば、塗装の耐久性は高くなるわけです。
事前の調査によって、そのマンションにとっての適切な時期と工事内容を判断する必要があります。
マンション大規模修繕工事で管理組合がやること


ここからは、マンションの大規模修繕工事で管理組合がやることを着工前、着工中、着工後にわけて紹介します。
- 着工前にやること
- 着工中にやること
- 着工後にやること
大規模修繕の着工前にやること


マンションの管理組合では、大規模修繕工事の前にやることがたくさんあります。
着工前にやることを抜かりなく行うことで、工事が成功するといっても過言ではありません。
修繕委員会の立ち上げ
多くのマンションでは修繕委員会が立ち上げられます。
これはやらなければいけないことが多岐にわたる大規模修繕に関して、ふだんの管理委員会だけでは業務の負担が大きすぎることから、大規模修繕に特化した委員会をつくり、業務を滞りなく行うためです。
修繕委員会のおもな仕事は以下のようなものがあります。
- 住民へのアンケートや説明会
- 建物の現況を調査依頼する
- 必要な修繕工事を判断し計画をたてる
- 見積り
- 施工会社を選定する
- 契約
これら大規模修繕に関する一連の業務を行います。
マンションの規模にもよりますが、修繕委員会の人数は5~10名ほどであることが多いようです。
なお、修繕委員会を設けないマンションもあります。
マンション住民へのアンケートや説明会の実施
マンションの大規模修繕工事の予定が1~2年後に近づいてきたら、住民へのアンケートを実施するなど住民の意見を聞きます。
住民の意見を聞かずに工事を進めてしまうと、後からトラブルとなる可能性もあります。
こまめに意見を聞く会を設けたり、説明会を開催できれば理想的ではあるものの、なかなか全員の出席はむずかしいものです。
まずはアンケートをとることが第一歩となるでしょう。
マンションの現状を調査する
大規模修繕工事をする際には、まずマンションの現状を知ることが大切です。
そのため専門家に現況を調査してもらうことになります。
住民からの意見も合わせて、修繕箇所をチェックするものです。
なお専門家の調査は、依頼する会社や方法が決まってから、より詳細に調査をしてもらうこともあります。
大規模修繕の計画をたてる
アンケートなどで住民の要望や意見をとりまとめ、修繕すべき箇所もわかったら、次に大規模修繕の計画をたてます。
大規模修繕工事をどのような形で進めていくのかを決めるものです。
工事の進め方には以下のような方式があります。
- 管理会社主導方式
- 設計監理方式
- 責任施工方式
- コンサルタントへ依頼
それぞれ説明しましょう。
管理会社主導方式
管理会社主導方式は、マンションの管理会社が主導となり工事を進めていくものです。
メリット | デメリット |
---|---|
管理組合の負担が減る 責任の所在が明らかになる | 工事の費用が高くなりがち 工事のチェックが行き届かない |
設計監理方式
設計監理方式とは、設計と工事の監理を設計事務所やコンサルタントに依頼し、工事は施工業者に発注するものです。
メリット | デメリット |
---|---|
工事の品質を第三者がチェックできるので安心 | 発注先が分かれるので費用が高くなりがち |
責任施工監理方式
責任施工監理方式とは、建物の診断から実施の設計、施工の監理までを、修繕工事会社がすべての責任をもって工事を進めるものです。
メリット | デメリット |
---|---|
1社に集約できるため管理組合の負担が少ない 責任の所在が明確になる | 悪質な業者の場合不要な工事を増やしたり工事の質が下がったりする可能性もあるため、業者選びが重要となる |
コンサルタントへ依頼
大規模修繕専門のコンサルタント会社や一級建築士などが、建物の診断をしたり施工会社の選定、工事の管理などを行うものです。
メリット | デメリット |
---|---|
管理組合の負担が減る 第三者目線でのアドバイスをしてくれる | コンサルタントの費用がかかる 施工会社と癒着している可能性もある |
大規模修繕の見積り・かかる費用や補助金の確認
大規模修繕の実施方法が決まったら、見積りの依頼をします。ここで、使える補助金などの確認もするといいでしょう。
数社に見積りを依頼し、相見積りをとることもできます。
依頼する施工会社を決定し契約
見積りが上がってきたら依頼する施工会社を決めて、契約をします。
あとは施工会社が工事を進めていきますので、契約が完了すれば管理組合や修繕委員会としてはひとまずほっとできるはずです。
大規模修繕の工事中にやること


大規模修繕工事の工事そのものは施工会社がやりますが、管理組合としても何もしないというわけにはいきません。
ここからは工事中に管理組合がやることを紹介します。
工事中の安全管理
工事中の安全管理は施工会社が気をつけるべきものですが、住民への周知などは管理組合としても行います。
たとえば子どもを足場付近などの危険な場所で遊ばせないなどは、掲示板や手紙で注意喚起をしたり、必要に応じて見回りをしたりすれば住民も安心です。
工事中の住民や近隣からのクレームやトラブル対応
工事中には、住民や近隣にさまざまなストレスがかかります。そのためクレームやトラブルの発生は多々あるものです。
クレームなどは管理組合に届きますので、適宜対応をします。
追加費用が必要な場合の対処
見積り段階ではわからなかった工事が発生することになり、追加費用がかかることもあります。
内容を確認し、必要な工事かどうかを判断して対処法を考えなければなりません。
修繕費がふんだんにある場合にはそれほど問題にならないかもしれませんが、予算が限られているマンションでは、住民へ修繕費を集金する場合もあります。
それでも足りない場合には、金融機関から借入れるなどの対処が必要です。
大規模修繕の工事後にやること


大規模修繕工事が完成すれば、竣工検査が行われるので、管理組合や修繕委員会などが立ち会います。
すべての工事が終了すれば、引渡書類を取り交わし、次の大規模修繕までは管理組合で書類を保管します。
ここまでくれば、管理組合としても一安心です。しかし工事後にもアフターメンテナンスは必要です。
アフターメンテナンスまで責任をもって行ってくれる施工会社であれば、管理組合も安心できるでしょう。
マンションの管理会社にまかせる大規模修繕のメリットとデメリット


大規模修繕工事には、マンションの管理組合が大変な労力を負います。そのため、マンション管理会社にまかせるといった選択も可能です。
ここでは、マンション管理会社にまかせるメリットとデメリットをお伝えします。
マンション管理会社にまかせるメリット
管理会社へまかせてしまえば、マンション管理組合の労力はかなり減らせます。
これまでご紹介したようなさまざまな業務があるため、仕事をもちながら管理組合をこなすのはかなりの労力です。
また、管理組合や修繕委員会に専門知識をもつ人がいない場合には、こまごまとした決定事項にも決断ができません。
管理会社にまかせることで、これらの重責はなくなるでしょう。
ふだんから管理会社と良好な関係が築けているのであれば、管理会社にまかせるのもひとつの手です。
マンション管理会社にまかせるデメリット
一方、管理会社へまかせることには、デメリットもあります。
最大のデメリットとしては、工事費が高額になりやすい点でしょう。管理会社から施工業者へ工事を依頼することが多いので、中間マージンが発生するからです。
また相見積もりが行われないため、競争原理が働かない点でも、見積もり額が高額になります。
マンション大規模修繕は、必ずしもマンションの管理会社へ一任する必要はありません。
他の施工会社にも見積りを出してもらうことで、適正な価格を知ったうえで発注ができるはずです。
管理組合が大規模修繕工事を成功させるコツ


ここからは、管理組合が大規模修繕工事を成功させるコツを紹介します。
住民への丁寧な説明と良好な関係をたもつ
つねにマンション住民の意見を聞き丁寧な説明を行い、良好な関係をたもつことで、大規模修繕工事はうまくいきます。
逆に希薄な関係のまま工事が進むと、住民の不信感からトラブルになりがちです。
すべての住民にストレスのかかる工事中に、風通しのよい良好な関係であれば、それぞれが気持ちよく過ごせて、大規模修繕工事を成功させられるでしょう。
大規模修繕の計画をしっかりとたてる
大規模修繕は大がかりな工事なので、事前にしっかりと計画をたてて進めれば、うまくいきます。
管理組合だけでは判断がむずかしい点も、施工会社や専門家に相談できる間柄を築ければ安心です。
管理組合や住民の気持ちに寄り添った業者選びも大切なポイントとなります。
過去の施工例や今後の大規模修繕のために体験者の意見を聞く
十数年に一度訪れる、大規模修繕工事です。
過去の施工例やそのときにおきたトラブルや対応策などは、今後の大規模修繕のために記録をしておきましょう。
また、過去の大規模修繕を体験した人がいれば、体験者からの意見を聞くことも大事です。管理組合や修繕委員会に入ってもらうとか、それが無理でも意見やアドバイスを求めると、参考になることがたくさんあるでしょう。
信頼できる施工業者を選ぶ
大規模修繕工事を成功させることには、施工業者選びも非常に重要です。
予算だけを見て安い業者を選ぶのは、おすすめできません。また、必要のない工事も入れられてムダな費用を払わなければならないのも、住民にとっては痛手です。
そのようなことにならないためにも、誠実で信頼できる業者選びをしましょう。
そうはいっても、どんな会社を選べばいいのかわからないかもしれませんが、会社の理念などを一度確認すると安心です。
大規模修繕を控えている管理組合様はお気軽にご相談ください


大規模修繕工事の時期が迫ってくると、管理組合の皆さんは落ち着かなくなるものです。
管理組合の中だけで話し合っていても、どうしたらいいのかわからない点も多々あるでしょう。
- 何から進めればいいのかわからない
- できるだけ修繕費用をおさえたい
- どこに工事を依頼すればいいのかわからない
このような点でお困りでしたら、ぜひ一度ネクストプルーフへご相談ください。
当社は、東京都板橋区で大規模修繕工事の専門業者として、長年地域の皆さまから信頼をいただいております。
住民の皆さまが生活をしながら進めていく大規模修繕工事は、経験や実績が豊富なネクストプルーフにおまかせいただければ安心です。
管理組合や修繕委員会の皆さまのご負担も軽減していただけます。



大規模修繕でお困りの際には、まずはお気軽にお問い合わせください。



